第48回日本古武道演武大会観覧記➁
令和7年2月2日(日)日本武道館にて第48回日本古武道演武大会が開催されました。
日本全国から弓馬術、剣術、槍術、薙刀術、柔術など35流派が出演しますが、毎回最後の演目は砲術が担っており、今年は陽流砲術の演武になりました。
日本武道館の大道場内で火薬を使用するだけに、火花対策として床は巨大なシートで覆われ、周囲を消火器で取り囲むなど、演武前の準備にも時間をかけていました。
陽流砲術といえば筑前国福岡藩(藩主・黒田家)のお留め流で、抱え大筒と呼ばれる大口径火縄銃を扱うことで知られています。
五十匁筒で約18kg、百匁筒では約28kgにもなるような大鉄砲を、砲架を使わず、さらしの輪に左腕を通して銃身とつなぎ、両腕で抱えるように撃つため「抱え大筒」「陽流かけ大筒」などと称されます。
陽流砲術には五つの型がありますが、今回はその中から陽流二の型「ありあけ」と陽流四の型「座うちはなし」が披露されました。
玉込めでは、火薬が零れ落ちないよう紙を詰めてカルカで突き固める所作を念入りに行っていたのが印象的でした。
大変重量のある大鉄砲だけに、どうやって火蓋を切るのか疑問に思っていたところ、大鉄砲を床に垂直に置いた状態で火蓋を切り、そこから持ち上げて構え、打つというやり方を確認できました。
演武直後の控え室にて黒田藩砲術陽流抱え大筒 十六代家元・尾上城由江先生からお話を伺うことができましたが、今回は五十匁筒と百匁筒を使い、黒色火薬の使用量は五十匁筒が20g、百匁筒が30gだったそうです。
屋内での演武なので通常より少なめにしているとのことでしたが、一般的な火縄銃演武の4~5倍の火薬量による爆発音は、音圧が違いました。
日本銃砲史学会 広報委員 設楽 英一