【銃砲入門】第4回「銃砲用語解説ー其の壱ー」

銃砲に関する書籍や図録・資料を読んでいると銃砲の専門用語が度々でてきます。読み方や意味が判らない用語もあると思います。そのような用語について順次解説していきます。今回はその第一弾です。
【角場】(かくば)
鉄砲の射撃場のことです。「角」とは的のことで的は星とも呼ばれます。皆さん流鏑馬(やぶさめ)でよく目にする標的(四角い板)は校串(こうぐし、はさみ)で立てています。火縄銃の射撃場では的を星とも呼び、布に描いた菱(四角い標的)の中心に丸が描かれた幕を使用したものを見ることができます。
【町打ち】(まちうち/ちょううち)町打
遠距離射撃のことです。1町とは60間ですので約109メートルになります。町はマチと読みます。
【立之次第】(たてのしだい)
砲術(武芸)訓練の記録(成績表・目録)。
市立米沢図書館には「立之次第」という史料が郷土資料として数多く所蔵されています。
平成30年(2018)9月15日(土)に伝国の杜(米沢市上杉博物館・恩賜文化ホール)大会議室に於いて開催された日本銃砲史学第412回例会in米沢(米沢大会)で青木昭博氏(米沢藩古式砲術保存会・市立米沢図書館)が講演された「米沢藩の上覧(じょうらん)鉄砲と矩之鉄砲ー立之次第から見る命中率ー」のなかで詳しく解説されています。
【遠丁】(とうまち)遠町
遠距離射撃です。ここで言う遠町は町打ちよりはるかに距離の長い射撃になります。角度を付け火薬量を増やして撃つと10匁筒でも13丁(約1.4km)先まで届きました。大筒(40~100匁)では18丁(約2km)先を狙いました。
こちらも米沢大会の講演のなかで青木氏が詳しく解説されています。
【上覧鉄砲】(じょうらんてっぽう)
米沢藩の藩主が在国した年の1月に馬場で実施した砲術訓練。米沢藩では角(的)との距離は60間(約109m)で行われました。他藩での砲術訓練では距離は15間(約27m)で角(的)は8寸(約18cm)が普通だったようなので米沢藩は桁違いな距離での砲術訓練をしていたことになります。
こちらも青木氏が講演した際のレジメに書かれています。
【矩之鉄砲】(のりのてっぽう)
米沢藩では毎年1月に実施されていた砲術訓練です。
こちらも青木氏の講演で詳しく解説されています。
今回の「射撃用語解説」では射撃に関する用語をいくつか解説いたしました。次回以降も「銃砲用語解説」で判りやすく解説していきます。