銃砲入門 第2回「大砲(大筒)」

「銃」とくれば「砲」ということで第2回は「大砲(大筒/おおづつ)」についてです。
「【絵解き】戦国武士の合戦心得/東郷隆著」によれば「旧日本軍では、口径十三ミリ以上の弾丸を使用し単独で運搬不可能な銃器を砲と呼び、歩兵が常に携帯する弾丸使用の銃器はどんなに大きくとも銃と称した。(中略)江戸期以前の日本人は「GUN」という大ざっぱな概念で区分けするから、実はそちらの方がフレキシブルで近代的とも言えるのである。」とあります。
火縄銃でも宮坂考古館(山形県米沢市)に展示されている30匁(もんめ)火縄筒(重量15㎏/口径2.7cm/玉重量112.5g)のように人が持って構えるのも苦労する大口径もありますが、大砲は台座(固定式)や車輪(移動式)が装備されている大型の銃器であると言えます。
国内には博物館・資料館など屋内に展示されている大砲や屋外に展示されている大砲が多数ありますが、日本銃砲史学会会員が関わった大砲には「浜川砲台(東京都品川区)」の30ポンド6貫目ホーイッスル砲(復元)や、板橋区立郷土資料館に展示されている「ハンドモルチール砲(台復元)」(砲身長24.0㎝、口径13.0㎝、火門径0.6㎝。砲弾は鉄製でガラナード弾。直径13㎝。木製信管を装着。台はスツールと呼称し、縦60~65㎝、横35~40㎝、高さ13~15㎝程度が一般的である。)などを含む多くの大砲が全国に保存・展示されています。興味のある方は是非見学されると良いでしょう。

板橋区立郷土資料館13ドイムモルチール砲/砲架峯田理事作成
品川立会川新浜川公園にある浜川砲台(復元大砲)

当初の大砲の使用目的には城や城壁、城門の破壊という役目があり、船に積まれて敵艦攻撃に使用されたり、艦船にあるマストも破壊したようです。破壊力は火縄銃とは比べるまでもなく、とても威力のあった武器であると言えます。
大砲の種別には「蘭式大砲種別」によると「長砲」と「短砲」があり、長砲の名称には「カノン」、「カルロンナーデ」、「ボムカノン(ペキサンス)」があります。短砲の名称には「モルチール」、「臼砲(きゅうほう)」、「ホウ井ッスル(ホーイッスル)」「榴弾(りゅうだん)」があります。
日本銃砲史学会の会報「銃砲史研究」には大砲に関する研究発表も多数所載されていますので、興味のある方は日本銃砲史学会に入会の上、会報を入手して一読いただければと思います。
また、日本銃砲史学会理事の中江秀雄氏が出版された「日本の大砲とその歴史(雄山閣)」や日本銃砲史学会会員の今津浩一氏が訳し出版している「大砲の歴史」など大砲に関する書籍も多数出版されていますので、ご覧いただくと大砲の知識をさらに深めることができると思います。